写実絵画について

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野田弘志 《アナスタシア》 2008年

19世紀のフランスで画家クールベが、ロマン主義に対し日常生活や現実をそのまま表現することをめざし写実主義を提唱しました。これは時代の記録を残すという狭義な意味合いをもつものでした。ホキ美術館の写実絵画は、16世紀ルネサンス以降のダ・ヴィンチ、レンブラント、フェルメール、シャルダンなどが描いたような、物の存在感を描きだす写実絵画を念頭においています。近年、米国を中心に起こった写真を利用して克明に描くスーパーリアリズムとも一線を画すものです。
「写実絵画の定義」をホキ美術館の代表作家に、それぞれ聞いてみました。「抽象以外の具象はすべて写実的なものともいえる。そのなかでも再現性の程度の高いものや細密に描かれているもの」「写実とは、目の前にある対象を再現することでも模倣することでもなく、その対象のずっと奥にあるものと出合うこと」「物事の本質を見つめ続け、存在を描くこと」「現実にある要素を抽出し、人為的な操作を加えて存在するかのように描くもの、また、情緒的な部分を排除し本当に現実に迫るリアリズムもある」「写生とは違い、前向きにそいでいくように物を見て自分の世界をつくり、自然をもうひとつ再現していくこと」など、さまざまな考え方が語られました。
写実絵画界のリーダーである野田弘志氏は著書『リアリズム絵画入門』のなかで、「写実絵画とは物がそこに在る(存在する)ということを描くことを通してしっかり確かめようとすること。物が存在するということのすべてを二次元の世界に描き切ろうという、一種無謀ともみえる絵画創造のあり方。物がそこに在るということを見える通りに、触れる通りに、聞こえる通りに、匂う通りに、味のする通りに描ききろうとする試み」と述べています。
写実絵画は写真のようだとよくいわれます。しかし、写真は一点から見た画面、いわゆる単眼ですが、人間の眼は両眼なので、視差によって遠近を知覚します。人間が見ている空間と写真が表現する空間とはおのずと違ってきます。人間の目で見たままを描いているのが写実絵画といえます。
「写実」と一口にいっても、このように画家により技法も考え方も違います。そうした多彩な写実作品を見比べることができるのもホキ美術館の特徴のひとつといえます。さまざまな写実絵画作品をお楽しみください。

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諏訪敦 《untitled》 2010年

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