企画展 森本草介展

森本草介展 2020年8月1日(土曜日)~2020年11月16日(月曜日)

ホキ美術館のスタートは森本草介の1枚の作品と創設者保木将夫との出会いから始まりました。本展はその原点に還り当館所蔵の36作品のなかから、ホキ美術館コレクション第1号の《横になるポーズ》1998年、東日本大震災時に完成させた《未来》2011年をはじめとする婦人像21点、最後のコレクションとなった《アリエー川の流れ》2013年を含むフランスの地方を中心に描いた風景画10点、《果物たちの宴》2001年など静物画3点の計34点を一堂に会す貴重な機会となります。セピアトーンに包まれ「生きる喜び」をテーマに描き続けた森本草介の「生の讃歌」ともいえる作品の数々をどうぞご堪能ください。
なお、ホキ美術館の森本草介コレクション《モノクロームの肖像》および《背のポーズ》の2点は、2019年10月の豪雨災害の影響で現在作品を修復中のため展示ができなくなりました。予めご了承くださいますようお願い申し上げます。

森本草介 Sosuke Morimoto

森本草介

1937年生まれ。岩手県育ち。1964年、東京藝術大学大学院美術学部油画科専攻科修了(大橋賞受賞)。1968年、国画会展サントリー賞。1969年、十騎会結成に参加。1994年、輝くメチエ現代油彩画の写実・細密表現(奈良県立美術館)。2001年、森本草介展―敬虔なる写実―(高島屋、東京・大阪・京都巡回)。2013年~2014年、ホキ美術館所蔵「森本草介展」(阪急うめだ日本橋三越)。国画会会員。2015年10月逝去。

保木将夫と森本草介作品との出会い
ホキ美術館の創設者保木将夫は1997年頃、森本草介の1枚の作品との出会いから写実絵画の収集を始めました。当時、美術年鑑をめくっていて目に留まった森本作品は、それまで集めてきた絵画とはまったく違うものでした。そこで自分の眼で確かめようと画家本人に手紙を書いたのです。すると「都内の百貨店の展覧会をご覧ください。」との返信があり会場に行くと、他の画家も並ぶグループ展でしたが、森本作品のみが燦然と輝いて見えたといいます。「初めて森本先生の絵を都内で拝見したとき、周りの作品がすべてグレーで、森本さんの作品だけが輝いて見えました。あの驚きと感動は忘れません。日本でこんなにすばらしい絵画があったのかと、静謐で気品ある作風に一目で心を奪われました。」と保木将夫は語っています。それほど強烈に心を揺さぶられ、そこから写実絵画のコレクションが始まりました。
ホキ美術館のコレクション第1号は《横になるポーズ》1998年です。この作品は購入時に既に全国を巡回する展覧会への出品が決まっており、手元に届いたのは巡回を終えた半年後だったといいます。こうしてコレクションが始まり、2010年のホキ美術館グランドオープン時には森本作品は30点を超えていました。

「生きる喜び」をテーマに制作
「2001年に自宅の隣にコレクションハウスを開いたとき、ご本人に初めて会いました。穏やかなお人柄で家族ぐるみの交流も始まりました。お父様の仁平さんが洋画家、ご子息である純さんが日本画家で、ホキ美術館が開館してからは親子三代の画業を紹介するトークショーをホキ美術館で開催したこともあります。」(保木将夫)
その作風は穏やかな人柄そのもので、画家の作品の根底に流れるテーマは常に「生きる喜び」。生きていてよかった、と思える絵を描きたいと語っていました。2011年の東日本大震災の時に描いていたのが《未来》2011年です。制作途中の作品がイーゼルから落下し、キャンバスにべったりと絵の具がついてしまいましたが、絵の具をふき取って描き上げ、平和を願う気持ちから作品名は《未来》になりました。制作の合間には好きなピアノを奏でることも多かったといいます。

婦人像、風景画、静物画
森本作品は大きく分類すると、婦人像、風景画、静物画に分かれます。婦人像は背中から描くことも多く、モデルがどんな人なのか想像する楽しさを残したいと語っていました。また、刺繍や編み物をしたり、コーヒーカップをもつ女性の姿は常に静かで穏やかな時の流れを感じさせます。
一方、風景画では「水は人をやさしい穏やかな気持ちにさせる。」とフランスの地方の水辺の風景を多く描いています。生前は毎年のように2週間ほど取材旅行に出かけ、アキテーヌやロット、モレーなどの美しい風景画を残しました。橋や川などの雄大な風景をとらえようと横に長くなった作品も特徴です。「風景画を描き終わったときは大自然を手中に収めたという満足感が得られた。」と画家は語っていました。
静物画では自宅の庭で育てた牡丹やパンジーなどの花を多く描いたほか、「みずみずしい果物や自然の恵みを集めて描いていると、それが楽しい宴のように思えてきた。」ということで《果物たちの宴》とつけられた作品など、作品には常に穏やかな愛と歓びがあふれています。

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